[W-ZERO3[es]] 携帯電話の文字入力を実現するために

ダイアルキーを備え、携帯電話に近づいたW-ZERO3[es]ですが、携帯電話から移行してきたユーザには、Windows Mobileの操作や、ダイアルキーでの文字入力に不満を覚えているのではないでしょうか?
そんなことは、QWERTYキーボードを展開したり、USBホスト機能でキーボードを使って解決すればよいのですが、片手で入力したいと言う方も確実に存在するかと思います。

そんなわけで、今日は、携帯電話の様な文字入力を実現するための最低限のセッティングを覚書程度ですが書いておきます。
ポイントとしている点は以下となります。

  • 望みの入力方式(かな入力、2タッチ入力)を使用可能にする
  • 文字入力時のレスポンス低下への対処
  • その他(携帯で実現されている)操作性の向上


まずは導入アプリ。

[es]の文字入力を改善するツール。
拡張かな入力(トグル)、ベル打ち(2タッチ入力ポケベル入力)を実現するためには必須です(というか、これがないと今回のエントリの意味がないです)。
拡張かな入力は、逆トグル(#)と、後変換(*)として小文字変換を追加で使えるようにします。
2タッチ入力は、シャープ製等の携帯電話に搭載されている2ストロークの文字入力が可能となります。
設定次第では、パナソニック製のニコタッチも再現することができます。
ただし、W-ZERO3 Utility PlusやPQz等に代表される、キーフックをかけるアプリとの併用は基本的にできませんので、ご注意願います。
(多重フックを可能にするアプリはありますが、ここでは紹介を伏せておきます。あとはご自分で)

通常では手の届かない細かい設定を変更することができます。何に使うかは後述。

強制的にVGA化(ハイレゾ化)するツール。
Pocketの手で、入力のもたつきを対処することで、未確定文字列が大きく表示されてしまう問題への対処を行います。
VGA対応アプリには基本的に不要ですが、一部のエディタには必須になります。


その他、好みで導入してみましょう

定型文や記号を選択して入力できます。ショートカットは作成しておきましょう。

ChgSuisokuはATOKの推測変換(いわゆる予測変換)のON/OFFを簡単にできるようになります。
W-ZERO3[es]の不要なATOK入力モードをスキップしたいのならばWithATOKで。
前者は星羽様のサイト「W-ZERO3日和」で、後者はmozurin様のサイトでDLできます。

携帯電話の絵文字を表示させたいあなたに。
詳細・設定方法は、作成者様のサイトやPocketの手のFAQを参照。

片手でのコピーやペースト(貼り付け)が可能になるソフトです。
ctrlswapminiで拡張かな入力を使用する方は導入しておきましょう。
2タッチやニコタッチならば、キーマップによっては不要です。
ショートカットを作成しておくと起動させやすいです。



導入手順

1.まずは、上記に紹介したアプリを導入しましょう
ctrlswapminiは特に必須です。あとは任意で。

 
入力方式は「かな入力」「2タッチ入力(ポケベル入力)」のいずれか。
2タッチ入力で「ニコタッチ風」をチェックすれば、パナソニックに搭載されている「ニコタッチ」が使用可能になります。


2.Pocketの手で、パフォーマンスに関わる部分の設定を変更
主に変更する部分は、入力パネルです。もたつきをなくすことで、早打ちにおける取りこぼしを防止します。
フォントキャッシュを増やした方が表示も速くなるかと思います。
フォントキャッシュは、増やせば増やすほど速くなるようですが、同時に実行用メモリを圧迫してしまいますので、こちらもお好みで。もしかしたら、推測変換の候補も表示が速くなるかも。
ただし、レジストリの変更も伴うので、各種バックアップはとっておきましょう。
自己責任であることも忘れずに。
不安な方は、スキップした方が無難です。

  • 「メニュー→パネル→入力パネル」で「長文入力時のもたつきをなくす」にチェックをします。
  • 「メニュー→フォント→フォント」で「フォントキャッシュ」の設定を行います。
  • 上記の設定した場合は、OSの再起動しましょう。

 


念のため、SHARPより提供されているファームウェアのバージョンアップも済ませておきましょう。
キー入力の反応が改善がされますので。


3.Force Hi Resolution ToolでVGA化させるアプリを設定
導入は、作者様のサイトやReadmeを参照願います。
2で設定した「長文入力時のもたつきをなくす」に関する問題を解決するために、対象となるアプリを追加します。


ダウンロード・解凍したファイルを\Windows配下に入れれば、お目当てのツールが現れます(画面左では右上)。
右の画面に遷移し、「Hi-Resolutionized below」にチェックを入れ、改善させたいアプリを選択しましょう。

私は零GOテキストエディタを登録し、未確定文字列の拡大や非表示に関する問題を解決させることができました。


4.あとは好みでカスタマイズ
MCHAR、ChgSuisoku、shiftlock等は、ショートカットを作成しておきましょう。
スタートメニューに登録するか、回転キーにYTaskMgr等のランチャーアプリに登録しておくと便利かもしれません。
ショートカットの作り方につきましては、詳しいページがございます。→■アプリのショートカットの作り方(星羽様:W-ZERO3日和)

ctrlswapminiの2タッチ入力では、#を機能キーとして割り当てております(デフォルトキーマップの場合)。
例えば、デフォルトキーマップの2タッチ入力では、「#・1」で全選択、「#・2」で範囲選択開始(終了は「#・5」)といった機能が使用できます。

例:#の割当て方

Key bell # [#]
raw DOWN VK_CONTROL DOWN A UP A UP VK_CONTROL # [1] CTRL+A
raw DOWN VK_SHIFT DOWN VK_RIGHT UP VK_RIGHT # [2] select start
char VK_PRIOR # [3] PageUp
raw DOWN VK_CONTROL DOWN Z UP Z UP VK_CONTROL # [4] CTRL+Z
raw DOWN VK_SHIFT UP VK_SHIFT # [5] select end
char VK_NEXT # [6] PageDown
raw DOWN VK_CONTROL DOWN X UP X UP VK_CONTROL DOWN VK_SHIFT UP VK_SHIFT # [7] CTRL+X
raw DOWN VK_CONTROL DOWN C UP C UP VK_CONTROL DOWN VK_SHIFT UP VK_SHIFT # [8] CTRL+C
raw DOWN VK_CONTROL DOWN V UP V UP VK_CONTROL # [9] CTRL+V
command STATECLEAR # [*]
char VK_TAB # [0] TAB
exec "\Program Files\MCHAR\MCHAR.exe" # [#] MCHAR

raw では生のキーコードをそのまま送信することができます。
exec を指定すると外部のプログラムを呼び出すことができます。

キーマップのカスタマイズによっては、アプリの起動も簡単にできるようになります。
例として、しんじ様のオリジナルキーマップ(ベル・トグル複合)では、「#・2」でChgSuisokuが起動するようになっております(任意で変更も可能)。


また、キーマップでは、「*」ボタンによる後変換(A→a等に変換する操作)の順番も変更可能です。
例えば、「つ」の後変換では「つ→づ→っ」となっておりますが、「つ→っ→づ」という順番に変更することも可能です。

例:2タッチ "つ"の場合

変更前

Key bell # [4]
char KANA Q # た
attach KANA DAKUTEN Q # だ
char KANA A # ち
attach KANA DAKUTEN A # ぢ
char KANA Z # つ
attach KANA DAKUTEN Z # づ
attach KANA SHIFT Z # っ
char KANA W # て
attach KANA DAKUTEN W # で
char KANA S # と
attach KANA DAKUTEN S # ど

変更後

Key bell # [4]
char KANA Q # た
attach KANA DAKUTEN Q # だ
char KANA A # ち
attach KANA DAKUTEN A # ぢ
char KANA Z # つ
attach KANA SHIFT Z # っ
attach KANA DAKUTEN Z # づ
char KANA W # て
attach KANA DAKUTEN W # で
char KANA S # と
attach KANA DAKUTEN S # ど

キーマップで、"attach"の順番を変えてやることで、後変換で出てくる文字を変更することが可能となります(#より右の文はコメントとなります)。


最後に
これらの設定を行うだけで、携帯電話のような文字入力を、極力ストレスなく行えるようになると思います。
実は、推測変換はOFFにしていることと、記号や顔文字は単語登録で補っていることから、ChgSuisokuは導入しておりません(失礼)
他にも便利なツールはあるかもしれませんが、そちらは好みで導入してみるのもよいかと思います。
もちろん、パフォーマンスは落とさない前提で(笑)