2タッチ入力と端末選び(2009年1月版)

久しぶりにホットモックを触ってきました。
一通りのメーカの端末に触れてきましたが、一年の間にも変化があったようです。
買い控えも進んでいるにもかかわらず、ラインナップは相変わらず多い・・・。

以前アップしたベル打ち対応のエントリがおおむね好評だったこと、情報が古くなってきたこともあり、現在出ている最新機種の2タッチ入力(ポケベル入力)の対応状況と入力補助について紹介し、端末選びの参考にしていただければと思います。
紹介は、ドコモ→auソフトバンクWILLCOM の順番となります。


(1/18追記)
auソフトバンク向けの機種(カシオ日立パナソニック東芝)について、さらなる調査をして間違っていた内容を訂正しました。
間違いがあったことをお詫び申し上げます。


(7/13追記)
以下について追記しました。
コメント下さった方々にお礼申し上げます。
・ドコモのFおよびSHにて、タッチパネルにおける文字入力について追記
・ドコモのFおよびNにて、中国語T9の追加について追記
・ドコモおよびSBMのPについて、ニコタッチの特徴を加筆
カシオ日立製の予測変換ウィンドウについて
SBM向けN端末について、ドコモ向けとの違い



NTT docomo
今回、比較的変化があったドコモ。
型番ルールの変更に伴い、微妙に変化していった箇所が最も多い。
今までの踏襲部分もあるが、簡単に紹介していく。
Pはニコタッチも使用できるが、入力補助は2タッチと同じなので、特に記載が無くても基本は2タッチと変わらないため、ご安心を。

  • 対応機種は、F,N,P,SHで、他(海外メーカ)は非対応
  • 英数字・記号入力で未確定文字が確定しないのはF、P
  • ソフトキーから2タッチでの英数カナ変換ができるのもF、P
  • SHは、予測変換でのみ英数カナ変換が可能
  • 句読点ダイレクト入力が使えるのもF、P(ニコタッチのみ)
  • Nキーロールオーバが使えるのは、今回はFのみ
  • SHは、今回の冬モデルからNキーロールオーバが無くなったので注意
  • 英数字や記号の全角/半角変換ができるもFのみ
  • あと、Fは2タッチ入力設定時に半角英数トグルも使える
  • 2タッチのガイド表示は、Fのハイエンド系、Pで可能(詳細は各メーカ毎の解説にて)
  • インライン入力はNにつづき、Fもできるようになった
  • 今回より、F,N,P,SHの4社共通で、[*]キーで濁点入力や大小変換ができるようになった


F:富士通
今回、最も変化のあったメーカと言っても過言ではないが、F905iより採用してきた入力補助は基本的に全て踏襲した上で、細かな改修がされている。
SHがNキーロールオーバを廃してしまったため、事実上、両手打ちがまともにできるのはFのみ。
(Fでは、同時押しは3つまで認識されるようになっている)
そして、英数字や記号の全角/半角変換ができるのも、2タッチ入力設定時に半角英数のトグル打ちへの切り替えができるのもドコモではFのみである。
(携帯サイトでパスワードを打つ際は、強制的に半角英数トグルになるようになっている)

変換がATOKであるのに加え、英数字・記号入力で未確定文字が確定せず、2タッチでの英数カナ変換、*での大小変換、インライン入力、句読点ダイレクト入力と、これでもかといわんばかりに入力補助が充実している。
事実、スマートフォンを除けば、ここまでできるのはドコモのFシリーズのみである。
(ただし、キッズケータイのF-05Aでは従来のスロット入力を採用している)
F-01Aでは、2タッチのガイド表示として、配列表が下に現れる(F02-Aは非対応)ため、配列がわからなくなっても、いざというときに確認しながら入力できる。
かなり小さいので、とりあえずといった感があるものの、配列というのはメーカによって異なるため、あるだけよいとも言える。
ダイアルキーの下に、さらにキー(TVキー、サーチキー、MULTIキー)があるため、誤操作を起こしやすいが、スライドのF-03Aは横に配置されるため、多少克服されている。
アンドゥ(やり直し)がワンプッシュでできず、メニューより呼び出す形式が変わっていないのが残念なところ。
それでも、他の部分が充実しているため、オススメのメーカである。
<7/13追記>
F-09Aでは、iモード利用中に限り、タッチパネルでの文字入力ができるようになった。
5タッチではなく、2タッチ入力に似た「はさみ入力」と呼ばれるものである。
通常は2タッチ入力とほぼ同じだが、1打目および2打目の入力前に濁点/大小のパネルをタップし、入力文字を切り替える必要がある点で、少し異なる。
なお、この入力では予測変換は使用できない上に、表示の切替速度に難があるため、試験的に搭載されたものと思われる。
また、この機種は、Nに続いて中国語T9も可能となっている。


N:NEC
N905i以来、特に変更点はなし。
濁点入力や大小変換といったごく基本的なものはあるものの、英数字・記号の入力で未確定文字が確定するのが難点。
Nキーロールオーバも無いため、片手向け。
インライン入力ができるため、この辺を重視するユーザには悪くないと思う。
従来通り、[文字]キー長押しでかな入力やT9にも変更できるのは、他にはないポイント。
(かな入力→2タッチ→T9 の順でトグルする)
<7/13追記>
N-02A等、一部機種で中国語の表示・入力(PinYin/Stroke)が可能となった。


P:パナソニックモバイルコミュニケーションズ
大小変換が*キーでできるようになった以外は特に変更ないが、ニコタッチで句読点もダイレクトで入力できるため、使い勝手の良さは健在。
英数字・記号の入力でも未確定文字は強制確定せず、2タッチやニコタッチでも英数カナ変換が可能。
こちらでも2タッチでのガイド表示が可能だが、Fのように配列表を出すのではなく、画面下部に、次に入力する文字の一覧が出てくる。
変換は相変わらずWnnのため、通常変換は(文節区切りをあまりしてくれないため)オススメしづらい。
また、予測を完全にカットできないため、予測変換主体のユーザ向け。
ただし、オフフック(通話)キーの長押しで、確定UnDoが可能となっている点は評価できる。
Nキーロールオーバとインライン入力が非対応のため、今後は採用が望まれるところ。
余談だが、*キーでの大小変換ができるようになったため、P-02Aでスライドの段差が気にならなくなるのは嬉しい改善である。
[文字]キーで入力方式も変えられる。
(かな入力→2タッチ→ニコタッチ の順でトグルする)
Fとは別の意味で入力補助が充実していること、ニコタッチで英数字も使いやすいため、2タッチ初心者から上級者までオススメ。
<7/13追記>
[*]キーの濁点/大小変換の実装は、スライド式では恩恵を受けられる反面、ニコタッチにおける「か」および「け」の入力後に[*]キーを押すと、濁点付きより先に「ヵ」や「ヶ」が出現するという改悪も出現した。
2タッチ入力では従来通り、「か行」は濁点のみの対応となるため、この挙動は発生しない。
濁点の方が利用頻度が高いため、何とかしてほしいところである。


SH:シャープ
型番変更機種より、Nキーロールオーバが無くなってしまったため、両手で使ってきたSHユーザは要注意。
従来と同じように扱うと痛手を食らう。
濁点・大小変換は健在のため、基本的なところは変わらない。
こちらも予測変換を完全にカットできないため、予測変換主体での操作が望ましい。
自作辞書の作成は相変わらずのアドバンテージだと思う。
インライン入力はまだ非対応なため、今後の対応が望まれる。
(そう遠くはないと思うが)
<7/13追記>
タッチパネル対応機種では、これを活かし、メール作成時でも5タッチ入力が使用できる。
しかし、連文節の変換制度は期待してはならない。


docomo総評
オススメは、全キャリアを通して完成度の高いFとPの2種。
ハード面、つまりキーの大きさや感触といった好みの問題もあるだろうが、2タッチ入力を前提とした端末選びにおいては、この2種は候補に入れておくとよい。
Fは、*キーで大小変換も可能となり、インライン入力にも対応したため、全キャリア通して、文字入力では最強といえる存在となった。
(ほぼ同じ使い勝手のD(三菱電機)が撤退してしまったのは個人的に悔やまれる)
通常の2タッチ入力に慣れているなら、是非手にとってもらいたい。
Pも、従来の良さを踏襲し、*キーの対応もあってか、より使いやすくなっていると感じる。
根強い人気を誇るニコタッチも、慣れると2タッチ以上に手放せなくなるだろう。
改善の余地としては、Nキーロールオーバはともかく、インライン入力の対応は希望が持てる(Nが既に対応しているため)。
FとPが良くなってきた反面、SHのNキーロールオーバ廃止は、両手打ち派には痛い。


au by KDDI
共通プラットフォームの採用で、2タッチの対応状況も良くなってきているau
ソニエリ一部機種とPTではできないが、国内メーカはとりあえず採用しているので、ご安心を。
今回の主な特徴は、以下。

  • W64S、PT以外の機種は2タッチ入力を採用
  • Xminiでもできるので、ご安心を
  • Nキーロールオーバ対応な機種が、Kに加え、CA,H,SH,Tでもできるようになった。(W63CA、W62H、W64SH、W65Tで確認)
  • [*]キーでの濁点・大小変換が全機種で可能な点は踏襲
  • CA,H,P,Tは、英数字・記号の入力でも未確定文字は強制確定しない
  • 加えて、CA,H,P,Tは英数字や記号の全角/半角変換もできる
  • SH,Tは、2タッチでの英数カナ変換が使える(TベースのSでも可能)


CA、H:カシオ日立モバイルコミュニケーションズ
P:パナソニックモバイルコミュニケーションズ

変換はATOKで、未確定文字は強制確定しない、英数字や記号の全角/半角変換も可能と、相変わらず優秀。
予測変換の候補選択は今までと違い、上下移動ではなく、ドコモのF同様の二軸(四方向)移動となっている。
今回、Nキーロールオーバが新たに採用されたため、両手打ちがしやすくなったのが非常に嬉しい。
同じATOK搭載のTと違い、2タッチでの英数カナ変換が使えないのは一長一短か。
それでもauの中では使いやすい。
<7/13追記>
予測ウィンドウON時に長文を入力していると、1打目でウィンドウが消え、2打目の入力後に再表示されるため、入力フィールド自体が上下に強制移動されてしまう現象が発生する。
T系では発生しないが、KCPの粗さを伺わせるような事象である・・・。


K:京セラ
変換がWnn、英数字入力による強制確定と、この点は変わらない。
Nキーロールオーバも搭載しているので、両手打ち派も問題なし。
今回、CAやH、SHがNキーロールオーバを採用したため、唯一のアドバンテージが崩れてきた感じ。
しかし、文字打ちのレスポンスは、こちらの方が若干よく感じた(W65Kで確認)
また、京セラ製にいち早く採用されたiWnnの予測変換精度は、Advanced Wnnよりも高く、目を見張るものがある。


SH:シャープ
英数字入力による強制確定はあるが、ドコモ向けと違い、2タッチでの英数カナ変換が使える点は見逃せない。
W64SHから、Nキーロールオーバが加わり、より使いやすくなった。
何の因果か、ドコモ向けとは逆に改善した珍しいメーカである。


S:ソニーエリクソン
このメーカは、採用PFの違いで採用/非採用が分かれる傾向にある。
re(フルチェンケータイ)、Xmini(ウォークマン携帯)は採用しているが、W64Sは非採用となる。
基本ソフトはTの面影が見られ、英数字入力による強制確定と、2タッチでの英数カナ変換が特徴。
ソニエリアイデンティティであるPOBox Proは健在。
Tと違い、通常変換はこれまで通りWnnと思われる。
予測変換を主体に使っていくのが賢い使い方。


T:東芝
(1/18更新)
長らく2タッチ入力を採用してきたメーカ。
以前の機種は、英数字入力による強制確定があったが、W65Tの時点では、他のATOK搭載機同様に強制確定がなくなっている。
カシオ日立製とは違い、2タッチでの英数カナ変換ができる点が強み。
変換がATOKとなったため、予測変換も他社製並になり、履歴以外でも候補が出てくるようになった。
反面、Mobile RuPo時代に比べ、未確定状態で打てる文字数が40文字から20文字と大幅に減少したため、以前のように思い切りの良い入力はできなくなってしまった。
従来の機種ではNキーロールオーバはなく、押しっぱなしだと次の文字入力ができなかったが、今回の冬モデルでは採用された。
これにより両手での取りこぼしが軽減されたが、押しっぱなしだと連打される東芝製独自の動きも健在。
カシオ日立製よりも癖が強いものの、ユーザによってはそれをしのぐパフォーマンスが発揮できそう。
どちらかというと玄人向け。



au総評
オススメはCA(H)かT。
いずれもATOK搭載機で、変換が賢いのが共通の強み。
英数字による強制確定なしでNキーロールオーバもあるため、au向けの中では使いやすい部類。
オーソドックスなCAやHをとるか、2タッチでの英数カナ変換が使えるTをとるかは好み次第。
他キャリアからの以降ならば、Nキーロールオーバや英数カナ変換の使えるSHも悪くない。
今回、三洋のラインナップ無いんですねえ?



ソフトバンクモバイル(SBM)
今回、新たにカシオ計算機が加わったのが大きな動き。
肝心の対応状況もカシオが採用メーカに加わっただけで、それ以外の変化は特にない。

  • 採用メーカはSH、T、N、P、CA
  • 英数字による強制確定がないのはP(900系)のみ
  • Nキーロールオーバは通常機種では使えない(スマートフォンのみ)
  • ポケベル入力と呼称している機種も存在する(メーカによって異なる)
  • 実は、従来から採用してきたメーカの機能的な変化は特にない。

SH:シャープ
ハイエンド系端末では採用しているものの、最低限の機能しかない。
濁点・半濁点は2タッチ[0・4]、[0・5]で行い、大小変換はかな入力と同じ[大/小]キーで行う。
最近、アニメーションを多用するようになったためか、表示レスポンスが若干悪くなった気が・・・。


T:東芝
英数字入力による強制確定はあるが、変換がMobile RuPoで、未確定文字は40文字まで打てる従来の東芝仕様。
しかし、濁点が*キー、大小変換が#キーに分離している点が異なる。
機種によってはT9も使用可能。
レスポンスは相変わらず良くないが、通常変換はSBM向けでは最も賢い。


N:NEC
端末リリースはしているものの、特に機能の変化はなさそう。
ドコモ向けとそれほどの違いはなく、英数字による強制確定がある点も一緒。
T9方式も使える。
[文字]キー長押しによる入力方式の変更も可能。
<7/13追記>
一見、ドコモ向けとほぼ同じに見えるが、09年夏モデル時点のSBM向けはインライン入力ができない。
(ドコモ向けはインライン入力ができるので、ご安心を)
P同様、ドコモ向けよりも各種実装が遅れている様子。


P:パナソニックモバイルコミュニケーションズ
2008年以降発売の機種では、一部機種を除き、2タッチ、ニコタッチが使える。
現在、920P,921P,823P,824Pで使用できることを確認済み。
使い勝手も、キー配置以外は同社のドコモ向けとほぼ同じで、2タッチ/ニコタッチでのガイダンス表示も同様にできる。
しかし、ドコモ向けとは違い[文字]キー長押しによる入力方式の変更はできない。
変換は、いつものP系と同じWnn
冬モデルでは、830Pが発売されているが、こちらはかな入力のみで、文字入力方式の切り替え自体ができない。
<7/13追記>
931Pでは、文字キー長押しによる入力方式の切替が出来るようになっている。
また、ドコモ向けのように、ニコタッチでの「か」および「け」でも独自の挙動はみられないが、今後の注意が必要になる。


CA:カシオ計算機
新たに参入した期待のカシオ・・・と言いたいところだが、中身はNEC製で、変換もN独自のものと思われる。
かな入力以外では、2タッチ入力とT9方式が使用可能な点も、上述のNEC製と同じ。
au向けと同じように考えるのはやめた方がよい。
アデリーペンギンが好きな人なら・・・いいかも。


SBM総評
あえて選ぶならTかPだろうか。
ドコモやauのように、入力補助がしっかりしている機種を作るメーカに乏しい印象が強い。
せめてATOK搭載機があれば、世界が変わるのだが・・・。
PやT以外だと、ドコモやauを使ってきた2タッチユーザがソフトバンクに移るのは厳しいかもしれない。
これは、T9使いのNユーザ(ドコモ)にも同じ事がいえる。
メールの打ちやすさにこだわるなら、スマートフォン(キーボード付き)にするか、他のキャリアを選ぶことをオススメしたいかも。
<7/13追記>
複数に出荷しているメーカの機種は、文字入力方面では他キャリア向けよりも実装が遅れる傾向にある(特にNEC)
同じメーカでもMNPの際は実機の確認を強くおすすめしたい。


WILLCOM
今回、新機種で採用している機種はなし・・・。
東芝WILLCOM LUにはあるだろう・・・と思ったが、取説調べても無かったため、省かれていると思われる。
他の機能も一部無くなっているようなので、事実上、WX320Tよりスペックダウンしている模様。


最後に・・・
今回、ドコモとauがなかなか良い感じになってきたと思います。
特に、富士通はほぼ完璧に仕上がってきており、ベル打ちユーザに最も勧めやすいメーカになったのではないかと。
今度機種変更するとしたら、ほぼ確実にFになる予定の自分がおります。
auもNキーロールオーバ搭載機種が増え、両手打ち派の機種変更に幅が広がったと言えるでしょう。
他のキャリアも、そろそろ文字入力を見直してくれてもいいのではないかと思います。

特にソフトバンク、せめてATOK搭載機が欲しいですね。
予測変換だけでなく、通常変換も賢い端末を求める身としては、少々移りにくいキャリアでもあります。
「あるだけマシ」といえばそうなのですが、こういったエントリを上げている時点で、単にあるだけでは満足できないレベルになってしまっているので。
文字入力さえ良くなれば、料金以外の魅力を見いだせるのですが、果たしていつになるのでしょう?
イーモバイルも、通常の音声端末よりも、前面キーボードのスマートフォンが欲しいところです。


次の春もしくは夏モデルは果たしてどうなるのでしょうか?