D905i(F905i) 2タッチ入力の実力

発売から1ヶ月経ったD905iF905iですが、もう使っている方もいれば、まだどれほどのものなのか気になる方もいるかと思います。

今回は、D905iを使って2機種の2タッチ入力(ポケベル入力)はどのようなものとなっているのか紹介します。
主にDで説明していきますが、基本ソフトが一緒のFでも参考になる部分が多いと思います。

※後続機種になると変更になる可能性があります。

主な構成は以下となります。

  1. 入力モードについて
  2. その他、入力を補助する機能
  3. mova-Dとの比較(サンプルはD506i)
  4. 確認されている不具合(2タッチ入力)
  5. 不具合なのか不明な現象
  6. 総評・感想

1.入力モード

2タッチ入力の入力モードは、通話ボタンで以下のようにトグルしていく
1全角かな→2半角カナ→3半角記号・英字→4半角英数(トグル)→5半角数字入力

 


なお、2以降は、切り替え直後ならば上下いずれかのキーで全角/半角の切り替えが可能。
i-modeでパスワード入力画面では、強制的に4の英字トグル等へ切り替わることがある(それ以外では2タッチ入力は可能)。

2タッチ入力を行う配列は以下(画像は取説より)。
空白部分は全てSpaceとなり、入力を受け付けるようになっている。

[:W400]
(画像をクリックすると拡大します)



全角かな
2タッチ入力のデフォルトとなる入力モード。
基本的にはこのモードだけで一部の記号以外は打つことができる。
英数字・記号入力時に変換前の文字が確定されない唯一のモードである。
配列の空白部分はすべて全角spaceとなる。
機種に依存しない部分以外で、句読点の入力列(7・8、7・0)を加えている。
過去に[6・9]で長音を出そうとすると、"-(ハイフン)"となってしまう「69問題」がmovaのF機種等で発生し、長音を含めた変換ができない問題があったが、F905iを含め、そういった現象は発生せず、普通に長音記号を含めた変換もできる。
なお、濁点・半濁点は、大小変換で句読点にできる(mova-Dと同じ操作)。



半角カナ
基本的には全角かなとほぼ同じ。
半角のモードは全て、通話キーで切り替えた直後ならば、上下キーで全角/半角のモード切り替えが可能。
空白部分は半角spaceとなる。
入力しても変換操作はできない。



半角英数字・記号
かな部分を記号に変更した変則的な配列。
英数字以外は決まった法則が存在しないため、他の配列以上に敷居は高い。
(画像は[1・1]から[0・0]を順に打ったもの)

[:W240]
(画像をクリックすると拡大します)



半角英数字トグル
英数字をトグルで打てるモード。
英字の後に数字が続いているが、逆トグルですぐに出すこともできる。
かな文字は2タッチ・英字はトグルで、といった入力スタイルを取れるため、2タッチでの英数字入力が苦手なユーザに最適。
*キーはURL入力が可能。
パスワード入力画面で、強制的にこのモードに切り替わることがある。



半角数字
数字をダイレクトに打つことができる。
暗証番号入力以外ではあまり使う機会がない。



2.その他 2タッチ入力を補助する機能

濁点/半濁点、大小変換
濁点/半濁点は*、大小変換はスピードメニューキーとなる。
いずれも使い方はトグルと同じように使える。

また、movaのDシリーズであった、濁点の大小変換で句読点にする操作も可能。



英数字からの変換
英数字・記号入力時に、全角/半角、大文字/小文字の変換が可能。
最初だけ大文字にする変換も可能。
変換前の文字が確定しない機種ならではの機能で、ATOKの2タッチ対応機(カシオ日立製など)ではほぼ確実にある。
ちなみに、「ー(長音)」記号は"-(ハイフン)"に変換できる。

 


カナ英数変換
本機種は、2タッチでもカナ英数変換を使用可能(全角かなのみ)。
月や日にち、時間も候補にあがるので、他機種と比較しても見劣りは感じない。


2打目キャンセル(文字戻)
一文字打った直後、メールボタン(逆トグル)で一つ前の状態(一打目を押した後)に戻る。
そこから2打目を打ち直すことができる。
他では殆ど見かけない特殊な機能の一つ。
なお、1打目のキャンセルはクリアボタンで行う。
使いこなすには、ある程度の慣れが要求されそうだが、実用性はそこそこあると思う。
一つ前の状態に戻るという概念は漢字変換のUnDo機能に似ているが、別物である。

例)
[1・9]で「D」と打った直後にメールボタン(文字戻)を押した後、表示が「1」となる。

画面より、一打目の数字が出ている状態となっていることがわかる。



全確定
漢字変換した文章を全て確定させ、本文に反映する。
2タッチ復活前から実装している(D800iDSは未実装)。
確定前に次の文字入力に移ることで同じ動作が可能ではある。
トグルでは有り難みに欠けるが、2タッチ入力でこそ活きてくる機能のひとつ。


Nキーロールオーバ
本機は、同時押しを認識するキーロールオーバも採用している(3キーまで)。
これにより、一つのキーを押しっぱなしにしている状態でも2打目が打てるため、
大半の機種で頻発する2打目の取りこぼしを防止し、より快適な文字入力ができる。
これもトグルでは有り難みに欠けるが、2タッチ入力、特に両手打ちでは使い勝手を左右する要素の一つ。
アプリのゲームも進歩しているので、他の機種でも標準化してほしい部分。
905iでは、現状でこれができるのはD、F、SHのみ。


3.mova-Dとの比較
mova時代にも2タッチ入力のあったDシリーズだが、FOMAでは少し異なった配置となっている。

mova-D(D506i)

[:W320]


FOMA-D(D905iF905i)

[:W320]
(画像をクリックすると拡大します)


注目すべきは[7・8][7・0]の2つ。
句読点が追加されたことにより、ニコタッチのようにダイレクト入力が可能となっている。
また、前述した英字入力用(記号ミックス)の配列、Nキーロールオーバが追加された。
その他、ボタン配置以外は殆ど違いがない。

簡単にまとめると、主に以下のようになる。
(絵文字・記号入力については割愛)

D506iなどのmova-Dにはあったもの

  • 確定UnDo(変換した文章を、1つ前の確定前に戻す機能→そこから再変換可能)

FOMA-Dから実装されたもの(トグル含む)

  • 全確定
  • Nキーロールオーバ
  • 2タッチ2打目キャンセル
  • 英字配列
  • 句読点ダイレクト
  • 予測変換候補の縦移動(movaでは下キーによる横移動のみだが、FOMAでは逆にできない)
  • カナ英数変換


4.確認されている不具合
既知問題ではあるが、2タッチ入力では、予測変換で変換候補を選択する際にスピードセレクターを操作すると、予測候補のカーソルが横ではなく縦に移動してしまう現象が発生する。
メーカによると「仕様」という回答が返ってきているらしい。
スピードセレクターを搭載しているD905iのみの現象で、F905iではこの現象は起こらない。
発売予定のD705iでどうなるか、動向が気になるところ。
ソフトウェア更新は未定。
2回目のソフトウェア更新およびその時期に出荷されているロットでは解消されている。


 


なお、かな入力(トグル)では、この現象は発生しない。
回避する方法は2つ。

   ※『MENU → [8]入力設定 → [2]入力予測OFF』にて設定可能


5.不明だが注意しておく事項
不具合かどうかは不明だが、注意しておいた方がよい現象も発生する。
下手すると、入力した文字が台無しになることもある現象もここで挙げる。
(不具合と判明した場合、4項へ移動する)


1打目の文字が入った状態での変換
予測変換をOFFにし、最後に2打目のキーを入力しない状態で、下キーを押して通常変換を行うと、変換前の文章が全て消えてしまう現象が発生する。
F905iでも発生するため、両機種で注意が必要。

例として、「これは不具合か?」と入力してみる。
最後の文字の2打目に7を入力すれば「?」までが文章となり、変換ができる。
しかし、1打目までしか入力せずに「6」が出ている状態で変換をすると、確定前の文章全てが消えてしまう。

最後に2打目まで入力した例

この場合は正常に本文へ反映される。

最後が1打目までしか入力していない例

この場合だと本文へ反映されず、全て消えてしまう。

変換前に入力できる文字は24文字までだが、全てが台無しになることがあるため、注意されたい。
なお、mova-DやP機種(使用サンプルはP903iTV)等ではこの現象は起きず、最後の1打目のみを無視した状態で変換可能である。
仕様で片付けられそうだが、できれば他機種並にはしてほしい部分。


回避方法(1/19追記)
回避する方法も存在するので、以下に挙げる。
大抵のユーザは予測変換を使うケースが多いと思われることから、それほど気にすることではないのかもしれない。

  1. 予測変換をONにする
  2. [変換(電話帳)]キーで通常変換を行う(予測のON/OFFは関係ない)
  3. (言うまでもないが)2打目までしっかり入力する

1の予測変換をONにしたケースで、現象がおきたときと同じ文章を入力してみる。


その後、予測候補を選択すると、最後の1打目を無視して変換を行う。


また、2の[変換]キーによる通常変換も同様に、問題の現象を回避できる。



6.総評・感想
今まで出た携帯の中でも、最も多くの機能をサポートしていると言えます。
2タッチ入力ユーザが望む機能のほとんどを載せ、使い勝手は他の機種の追随を許さないと思います。
レスポンスも、Nキーロールオーバが採用されているため、以前にも増して素早く打てるようになったと実感しております。

また、movaのDシリーズのような操作(濁点の大小変換で句読点など)もほとんどができるため、FOMAへの乗り換えを考えている方にもD/Fの905iはおすすめといえます。
個人的には、スライドなら*で大小もできれば、指の移動における負担が減るとは思いますが、どうでしょうか?

配列については、記号ミックスのものがありますが、それよりも、英字の入力に特化したもの(例えば、2・1でAになるようなもの)がほしかったです。

他は、確定UnDoがあれば、誤変換をした際に一度だけ戻せるので実装してほしかった部分ではあります。
元に戻す操作は、以前よりありますが、これが入力ウィンドウが消えているときにMENUから「元に戻す」を選択するというかったるいもので、しかもCtrl+Zと同じ動作をするという他社製と変わらないものだったりするので、もう少し工夫してほしいところです。
むしろ、デコレーションなんてMENUから呼び出すようにすれば十分なのに・・・。
せめて、Ctrl+Z相当の戻しでもいいので、ワンストロークでできてほしいのが望みです。
文字を入力するところなのだから、文字入力の基本的な機能を優先して使わせるようにすべきだと思いますので。

あとはインライン入力が早いうちに対応してくれると助かりますね。
こちらは後続機種に期待でしょうか?

あと、予測のON/OFFに関わらず、少々気になる現象が発生しているのは、初発である故か、それとも、トグル&予測変換のスタイル以外での作り込みや検証に甘い部分が残っているのは否めません。
もし、それらが「仕様」で片付けられたとしても、後発機種での解消に期待したいところです。


少々不満点も挙げましたが、それでも、使い勝手・レスポンス・変換を総合的に鹹味すると、今までの携帯の中でもトップクラスの出来ではないかと思います。


最後に
富士通さん、三菱電機さん、(2タッチ入力を)採用してくれてありがとう!」




追記
配列表については、はてなキーワードに紹介されているような、もう少し直感的な表を追加予定です。


1/15 追記

  • 入力モード冒頭、全角かな、英数字トグルに記述追加
  • mova-Dとの違いにそれぞれにあった機能を記載
  • 5項に注意点の項を追加。

1/19 追記

  • Nキーロールオーバにて他にできる機種を記載
  • 5項に問題現象の回避方法を追加。また、現象の起こるケースに予測変換について明記
  • 冒頭の記述にFの内容を追記(基本ソフトが一緒〜)
  • 4項の不具合に、現象がD905iのみで起こる旨を明記
  • 全角かなの項に69問題について補足
  • 英数字の変換に、記号の変換について補足

1/23 追記

  • 6項にUnDoについての不満を追記

3/1 追記

  • Nキーロールオーバの最大同時入力数に誤りがあったため、修正(2→3)